──従来にはないような、かなり凝った仕様のCDになっていますよね。
慎 シングルって音源としての価値が低い──というと語弊があるかもしれませんが、先行してリリースされてるだけじゃないですか。アルバムには全部入ってますし、なんなら「ヤなことそっとミュート」は配信もしているので、なるべく持ってて嬉しいものにしたいんです。
でも、(HISHOが)最初に提案してくれた特殊装丁は、めちゃくちゃ高くなってしまって……、EPの値段はつけれても1000円とか。絶対に採算がとれないような……。
HISHO でも「またヤバイの考えてね」って。結局手作りになっちゃったわけですよ(笑)。
林 ココロの何処かに、「俺らが働いたらタダ」ってのがあるから…(笑)。
慎 枚数も1stシングルより増えてますからね、3000枚になってて。シーリングの作業はみんなで分担もできないから。完全に家でやってましたよ。
慎 ディスクはもともと、こういうもの(12cm仕様で8cm部分のみプレスされている)があります。ジャケットのイラストも袋に印刷するという案もあったんですけど……印刷だけで1枚数百円したんで、最終的にはシールに。
HISHO シールを貼る、ブックレットとCDを入れる。それを最後にシーリング(袋を閉じる)するっていう作業をまた(1stシングル制作のときと同様に)運営陣と一緒に。『Sealing EP』ってタイトルはまさに、このシーリングから来ていて。
──シーリングだから開けたら元には戻らない仕様だから、これも(1stシングルと同様に)複数買いしたくなるような。
慎 聞く用、保存用、布教用って言いますからね。
HISHO 絵のもとになっている写真はアーティスト写真として使っていたんで、ジャケットでは別のことをしたいとなったんです。だから友人だったアニメの作画監督に線画にしてもらって。
でもジャケットに使うだけでは線画にするのは予算に見合わない。けれど、物販にも展開できるならって。Tシャツとしても展開してもらってます。これも工夫の点なんですよね。
予算を細かに相談できるのはよくて。デザイナーとしては面白いことやりたいって希望はあっても、予算で却下されることも多い。
慎 予算に見合わないものはもうつくれないんですよ。ボランティアになってしまうから。それをやりだしてしまうと、本当に必要なときに必要な予算がかけられなくなってしまう。
HISHO でも、こういうことをしてきたからこそ、「『ヤなことそっとミュート』ってクリエイティブつくりこんでるよね」と反響も上がってくる。
積み重なって、赤坂ブリッツでワンマンやったときも本来的にはコストにみあわないような…「キングダム ハーツ」シリーズにも参加しているイラストレーターの岩佐有祐(https://twitter.com/yuusukeiwasa)さんが、ポスターのビジュアルを担当してくれたり。熱量を認めてくれた、評価されたからこそつながったこともあります。
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ヤなことそっとミュートの
クリエイティブの裏側に迫る制作ノートシリーズ
アイドルに寄せたくない──海から現れた少女たち
https://www.foriio.com/works/18/notes/33
連日徹夜で制作した1stシングル
https://www.foriio.com/works/23/notes/37
アートディレクターがつくり出すアイドルユニットの一貫性
https://www.foriio.com/works/21/notes/35
ストーリーと偶発性、仄暗いプールの底から
https://www.foriio.com/works/20/notes/38
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